令和の5Sブログ

整理整頓できない会社は危ない理由3選(その3)

話し合えない様子

整理整頓できない会社は危ない理由3選
その3  「話し合いが成立しない」

前々回の記事では、整理整頓ができない会社が危険である理由の一つとして、そのような会社が「問題の塊」であることを取り上げました。そして前回の記事では、二つ目の理由として、整理整頓ができない会社には「信頼がない」ことについてお話しました。

 今回の3選(その3)では、整理整頓ができない会社が危険である三つ目の理由として、「話し合いが成立しない」ことについてお話ししたいと思います。

「話し合いを成立させる」のは、実は難易度が高い

「話し合いを成立させる」というのは、実際には非常に難易度の高い課題です。個人で課題解決の練習をしている場合にはあまり意識しないかもしれませんが、組織やチームのメンバーと一緒に問題解決を図る際には、必ず直面する難題です。そして、整理整頓ができない会社では、話し合いが成立することはまずありません。これが、整理整頓ができない会社が危険である三つ目の理由です。

多くの方が経験されていると思いますが、話し合いが成立しない状況は、仕事の進行を妨げる最大の要因と言えるでしょう。例えば、なにも決まらない会議とかの経験はありませんか? 整理整頓ができていない環境では、情報が混乱し、優先順位が不明確になるため、議論が停滞しがちです。その結果、結論が曖昧になり、話し合いで決まった内容が十分に共有されず、決定事項が実行に移されないことがよくあります。

さらに、整理整頓が不十分だと、関係者が必要な情報にアクセスできず、誤解や認識のズレが生じやすくなります。このような状態では、いくら話し合いを重ねても、効果的な解決策を導き出すことは非常に困難です。結果的に、声の大きい人の意見に従うだけの状況を「話し合い」と呼んでしまっているに過ぎません。残念な事実ですが、私たち多くの日本人は「話し合い」で解決するスキルを持ち合わせていないのです。

話し合いが成立するとは?

「話し合いで解決する」ことには、組織に所属する一人ひとりの参加意識を育てる効果があります。各メンバーが組織やチームの問題を自分ごととして捉え、解決に向けて行動するためには、欠かせないステップがあります。それは、問題解決のゴール設定や解決策の策定に、自分の考えや意見が少しでも反映されたと感じられる瞬間を作ることです。これこそが「話し合いで解決する」最大の目的なのです。

このプロセスは、メンバーの働きがいや、組織への帰属意識にも大きく影響します。しかし、もし会社が散らかっているような状態で、経営者が社員に自発的な行動を求めたとしても、残念ながらその願いが叶うことはありません。そのような会社では、話し合いが成立していないからです。会議が行われていても、それは「話し合いで解決」するための場ではないでしょう。

よく「話し合って決めなさい」と言いますが、よくよく考えてみると、このフレーズには問題があります。なぜなら、その言葉通りに物事が進むことはほとんどないからです。そもそも、私たちは本当に話し合いで決める技術を持っているのでしょうか?むしろ、「話し合いで決めるなんて、できたためしがない」というのが実情に近いと思います。私の経験では、話し合おうとするほど、対立が深まり、泥沼状態になってしまうことの方が多いのです。

「話し合って決める」が成立するためには、いくつかの条件があります。話し合いに臨む双方が、合意形成の技術を持っていること、そして話し合いで解決しようという意思を共有していることが必要です。しかし、多くの場合、話し合いで解決したいという意思はあっても、合意形成の技術が不足しています。このような状況では、話し合いを問題解決の手段とするのは難しいでしょう。むしろ、会議での話し合いは時間の無駄であり、悪影響を及ぼすことさえあるかもしれません。合意形成の技術がないリーダーの下では、メンバーが組織力を発揮することは不可能だと断言できます。日本の組織の生産性の低さは、合意形成技術がないリーダー達の問題といって差し支えないと思います。

話し合いにも整理整頓が必要

整理整頓できない会社で、話し合いを成立させるのは簡単ではないでしょう。話し合いで解決するには、双方が、話し合って合意形成に至る技術をもっている必要があるのです。ですが、技術であるからには学習と練習で必ず上達可能な案件です。心配ありません。

この場合、練習問題の1つとして「話し合いを成立させる」を整理整頓してみることをお勧めします。テーマは「この組織では、どうしたら決まったことになるのか?」です。どうしたら決まったことになるのかがわかっていないのに、話し合いをして決められるわけがないと思いませんか? そのためには、①どうしたら話し合いが成立するのかについて考えられることを全部書き出してデータ化する。
②書き出したデータを分類する。
③分類したデータを優先順に並べる。
そうすることで、どうしたら決まったことになるのかの道筋を明らかにしてみてください。

余談ですが、「そんなこと言ったって、あの人がいる限り話し合いなんて無理だ」という指摘はいろいろな現場でよく聞きます。そういった場合は、その人がいない関係性の中で、練習だけはしていきましょう。話し合う技術を訓練していない段階で、話の通じない特定の人に焦点を当てることは避けましょう。練習はできます。

どうしても難しい場合は遠慮なくご連絡ください。お手伝いさせていただきます。

整理整頓の正しい理解と練習とは?

 整理整頓の正しい方法を学んで理解し、練習を積めば、その気がある人なら誰でも整理整頓ができる人になれます。整理整頓のできる人とは、片付け上手な人ではありません、どんな問題課題も解決できる人のことです。そこで、この項では正しい理解と練習方法の解説をしていきます。ぜひ参考にして、整理整頓のできる人になっていただきたいと願っています。私はそれが、すべての働き手が仕事で幸せを感じられる環境につながると信じているからです。

整理整頓の正しい理解とは?

整理整頓は、「(整理)課題を解決可能な形に整えて+(整頓) 課題解決を実行する」ことで、それは課題解決そのものです。

そのためにはまず、「解決する対象の問題課題とは一体どんなものなのか?」を正しく理解しましょう。

「悩み」「問題」「課題」の意味と構造を知る

私たちは、「悩み」「問題」「課題」をそれぞれ似たもののように思っていて、具体的にその言葉と意味を使い分け出来ていません。問題課題を解決する上で、それぞれの意味と構造を理解しなければ、どこから手を付けて何をしたらよいのかがわからないでしょう。

 まずは、「悩み」「問題」「課題」のそれぞれの意味と全体の構造がどうなっているのかを解説していきます。それを図解したのが、次の図の「悩みの階層」です。


それぞれの意味は次のとおりです。
以下のように、明確に違う言葉だと認識をしましょう。

 □「悩み」 問題が複数絡まっていて、考えることができない状態
      「悩み」を分割すると複数の「問題」になる

 □「問題」 課題が複数重なっていて、解決策がわからない状態
      「問題」を分割すると、複数の「課題」になる

 □「課題」 解決への行動が整理できず、タスク化できていない状態
      「課題」を解決のための行動に分割すると「タスク」になる

 「悩み」「問題」「課題」「タスク」の関係性は階層になっている構造です。この順番で分割していくことによって、あなたが直面している悩みを解消するために何をしたらよいかがわかるようになるのです。

「悩み」「問題」「課題」のそれぞれの意味と全体の構造が理解できたでしょうか。

次に、「悩み」「問題」「課題」のそれぞれの解決法です。

「悩み」「問題」「課題」の解決法を知る

「悩み」「問題」「課題」の解決方法はそれぞれで全部同じやり方です。解決のためには具体的手段があり、その方法とは、「①全出し」「②分類」「③再構築」「④進捗支援」のサイクルを回し続けることです。

図にすると以下のとおりです。

「全出し」とは、文字どおり全部出すことをいいます。具体的に言うと、思いつくものすべてを書き出す作業です。

この時のコツですが、前提条件なしで書き出すことです。例えば、「できる・できない」「お金がかかる・かからない」「自分がやる・他人がやる」「時間がかかる・かからない」などは、ここでは考慮しません。とにかく思いつくことを全部書き出すようにしましょう。「こうやったら解決できるはずだ・・・・・」と思う行動を、お金や人や時間のことに縛られることなく書き出してください。「できる・できない」などを考えるのは後の工程です。

「分類」とは、全出ししたことを特徴や性質などでまとめる作業です。その上で「できること」「できないこと」「判断つかないこと」に区分します。

「再構築」とは、解決までの工程と進捗をフォローする段取りを「決める」作業のことをいいます。分類した行動を再構築することで、課題を解決可能な形に整えて、実現する段取りを「決める」作業と考えてください。

 「進捗支援」は、決めたことが本当になるように支援する作業です。仕事の場面に合わせて、もう少し詳しく説明をすると「チームや部下にとってやりがいのある仕事が、毎日少しでも進捗するように支援する」ことです。

整理整頓が、「(整理)課題を解決可能な形に整えて+(整頓) 課題解決を実行する」ことで、それは課題解決そのものだというのは、具体的にはこの解決のサイクルを回すことです。

問題を解決する際にこのサイクルを当てはめてみると、次の図のようになります。

文字で読むとなんだか難しく感じられるかもしれません。実際に目の前の問題課題を題材にして、解決してみるとわかりやすさとやりやすさを実感いただけると思います。

以上が「悩み」「問題」「課題」の解決法の解説でした。リーダーとして組織やチームを機能させたいと願うのであれば、まず整理整頓の練習から始めるのが遠回りなようで結局のところ最短ルートだとお伝えをしました。整理整頓の練習と言うのは、このサイクルを使って現実の目の前の問題課題を解決する練習ということです。

練習を積めば、必ず良い変化を体感することになります。ぜひ挑戦してみてください。

整理整頓の練習方法とは?

整理整頓を練習する練習方法は、目の前の課題を題材にして整理整頓してみることです。とはいっても、それだけでは何から練習したらよいかわからないかもしれません。もう少し具体的に練習の方法を解説します。

① 現状を把握するための「全出し」をする

 目の前の課題に関して、思いつくことをとにかく全部書き出してみることです。ポジティブ、ネガティブ、大きなこと、小さなこと、とにかく感じたこと全部です。ここで考える必要はありません。というか、考えてはいけません。考えるのは次のステップです。「全出し」の目的は、次のステップで考えるためのデータ集めです。なので、データを出すことに集中しましょう。

 「全出し」も練習をしないと最初はうまくできません。データ出しに集中できず、すぐにとりとめのない議論が始まり時間を浪費したりします。5分とか10分とか時間を決めて「全出し」に集中する練習をしましょう。付せんを使い、1枚に1データで書き出すようにすると後で分類がしやすくなります。

②「全出し」して出てきたデータを「分類」する

現状自分たちが行っている会議やミーティングなどの話し合いの状況に関して、出てきたデータを分類します。「分類」とは、似たようなデータをひとまとめにしたり、まとめたデータにタイトルを付けたり、わからない点について質問してみたり、そういう作業です。「分類」の作業の結果、いくつかの課題に収束します。この時点で、「話し合いを成立させる」ために何が課題になるかが、おおよそ把握できることでしょう。

「分類」も練習をしないと最初はうまくできません。分類に集中できず、すぐにとりとめのない議論が始まり時間を浪費したりします。5分とか10分とか時間を決めて「分類」に集中する練習をしましょう。

③「分類」して明らかになった課題を「再構築」する

「分類」して解決に向けて取り組むべき課題が明らかになったとしても、それだけでは何も変わりません。明らかになった課題ひとつひとつに対して、解決可能な行動(タスク)の階段を作らなければ、解決への道筋は整いません。その作業が「再構築」です。作業の具体的なイメージは次の図のとおりです。

おわかりいただけたでしょうか? この「再構築」を「分類」で明らかになった課題ひとつひとつに対して行っていきます。

 「再構築」も練習をしないと最初はうまくできません。課題解決のために必要な行動のひとつひとつが、ムリせずに実行可能な行動でなくては、結局解決に支障をきたします。最初はそのことがよくわからず、過負荷な行動で解決までの階段を作ってしまったりします。「本当にそれはできるのか?」と丁寧な話し合いが必要になる場面です。

「再構築」も5分とか10分とか時間を決めて作業に集中する練習をしましょう。

④「再構築」して決めた行動を実行する、そして進捗を支援する

「再構築」して課題解決のための行動を決めたとしても、実際にその行動がひとつひとつ進捗しなければ、課題が解決することはありえません。「決めてもやらない」なんてことは多くの人が経験していることだと思います。そのためには「進捗支援」が不可欠です。ここが肝心かなめの最重要ポイントです。

「進捗支援」の具体的なイメージは次の図のとおりです。

進捗支援」も練習をしないと最初はうまくできません。進捗チェックではなくて進捗支援です。進捗支援の具体的行動とは、行動の一つ一つが意味のある仕事と位置づけ、毎日進捗を把握すること。それは「進捗はどう?」「何か手伝いが必要な事ある?」と聞くことだけです。どうしても「ちゃんとやらなきゃダメだぞ」と言ってしまいがちですが、そこが修正が必要なポイントで、練習したいところです。

 

何から練習したらよいかがおわかりいただけたでしょうか。最初は簡単に解決できそうな課題から試してみることをお勧めします。例えば、モノの「片付け」からとかです。

そうして整理整頓の感触がつかめたら、同時にあらゆるコトやモノに整理整頓を応用することができます。

その練習を積み重ねることで、会社のあらゆる問題課題をメンバーが解決できるようになり、仕事の詰まりは解消されていきます。

まとめ

・言っても聞かないスタッフ
・動かない組織
・動かせない上司
・変わらない会社風土
・人が辞める
・伸びない業績
・進まない改革やプロジェクト
・育たぬ人材
これらの原因は全部「整理整頓できない」からというのはお分かりいただいたと思います。

それらの問題があるなと感じている場合、やるべきは整理整頓。それは、課題解決の練習から手をつけるということです。練習方法は、身近な課題解決からがいいでしょう。1日5分~10分の時間で十分です。その時間を仕事の中に組み込めれば、半年後くらいから目に見えた変化を体感していただけるはずです。

 私たちは「なんでも話し合いで解決する」「整理整頓をする」とかいうことを、誰でもできることとして思い込んでいます。また全員それができることを前提にして、組織を作ったり、仕事を進めようとしてはいないでしょうか。現実は「誰も話し合いで解決するこができない」「誰も整理整頓ができない」のに、そのまま仕事をしている集団です。

 それでは、キャッチボールも素振りも練習しないで毎日野球の試合をしているのと同じではないでしょうか。そんなチームが試合に勝てたり、大きな大会で優勝したりすることがあるはずもありません。もしも日々の仕事が、野球に例えれば試合の連続なのだとしたら・・・。練習と試合を組み合わせた方が、勝つ確率も高まり、日々を楽しめるのではないでしょうか。仕事においては「整理整頓の練習」がキャッチボールや素振りです。

 忙しい中で「練習になんて時間を取る余裕がない」という事情もよくわかりますが、毎日1時間は練習が必要というわけではありません。毎日たった5分。それだけで6か月後には練習の効果を実感でき、12~18ヵ月もすれば未来はもっと良くなると確信できていることでしょう。

 「言っても聞かないスタッフ」「動かない組織」という悩みは、中小企業経営者にとっては広く共有される悩みだと思います。あらためて、自社は何のために事業をしていて、これからどうしようとしていて、そのためにはどんな環境を整え備える必要があるのか、常にそれを考えて行動をする必要があります。そのためにも自分たちの問題課題は自ら気づき解決する、そんな人材や組織を育成していきたいところです。それは「整理整頓の練習」をすることで実現可能です。しかもそのために必要な時間は毎日たった5分です。ぜひ取り組んでみて、未来を変えていただけることを願っております。 とはいえ、もしも、わからないことや不安なことがあるようでしたら、遠慮なさらずお問い合わせください。お手伝いさせていただきます。

人材の育成や社内の課題でお悩みがある経営者様、気になることがあれば遠慮なくお問い合わせください。公式LINEでご相談を受けています。

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