令和の5Sブログ

兵庫県知事のパワハラ問題から学ぶ「チームを壊すリーダー問題」

パワハラをする上司を表す写真

チームを壊すリーダー

 最近、兵庫県知事がパワハラ疑惑で労組から辞任要求を受けているニュースが話題になっています。パワハラ気質のリーダーとは、部下や同僚に対して精神的・肉体的な苦痛を与える行為や態度をとるリーダーのことを指します。私もパワハラ気質のリーダーの下で働いた経験がありますが、パワハラをされる意味はまったくわかりません、とにかく理不尽です。このようなリーダーの行動は、職場環境や組織の士気を著しく悪化させる可能性があり、組織全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。

パワハラ気質のリーダーの特徴

  1. 過度な支配欲: パワハラ気質のリーダーは、自分の意見や指示が絶対であると考え、部下の意見やアイデアを無視したり抑圧したりします。自分がすべてをコントロールしなければ気が済まないため、他者の自主性を尊重しません。
  2. 感情のコントロールができない: 怒りや苛立ちを抑えられず、部下に対して過剰な叱責や攻撃的な態度をとることが頻繁にあります。このような感情的な反応は、部下に恐怖を与え、ストレスを増大させます。
  3. 部下を見下す: パワハラ気質のリーダーは、自分が優れていると感じ、部下を下に見る傾向があります。これにより、侮辱的な言葉を使ったり、過剰な批判を繰り返したりすることで、部下の自尊心を傷つけます。
  4. 理不尽な要求: 無理なスケジュールや過剰な業務量を部下に押し付けることが多いです。また、達成不可能な目標を設定し、それに対する達成度に関係なく、部下を責め立てます。
  5. 公私混同: プライベートな問題や個人的な感情を職場に持ち込み、それを理由に部下を非難したり、個人的な敵意を業務に反映させたりすることがあります。
  6. 責任逃れ: 自分の過ちや失敗を認めず、部下に責任を押し付ける傾向があります。また、問題が起きた際には、自らの責任を回避し、部下をスケープゴートにすることがあります。

パワハラ気質のリーダーの影響

パワハラ気質のリーダーがいる職場では、以下のような悪影響が生じます。組織全体の悪影響士気の低下離職率の増加。その結果としてチームは崩壊します。

 本記事では、パワハラの危険性はもちろんなのですが、パワハラ気質のリーダーが併せ持つ理不尽さの正体に注目したいと思います。それはダブルバインド(二重拘束)です。ダブルバインドとは、矛盾する指示やメッセージを同時に受け取ることで、相手がどの行動をとっても批判されるような状況を指します。これにより、相手は何をしても間違っているように感じ、心理的に追い詰められることがあります。

 釈明会見での「生まれ変わって信頼を再構築したい」という発言に注目したいと思います。なぜならこの発言は、謙虚な姿勢を示しているように見えますが、同時に、リーダーとしての責任逃れの意図があり、矛盾する2つのメッセージに違和感を抱く人も多いのではないでしょうか。私はチームを壊すリーダーの1番2番が「言っていることとやっていることが違うリーダー」「決めた事が決めた通りに実現できないリーダー」だと考えています。このタイプのリーダーにパワハラ気質が多い出来もしないことを出来ると言えてしまう不誠実な人がリーダーになるとチームは100%機能不全に陥ります。「生まれ変わって信頼を再構築したい」。今回は、この発言を通して、チームを壊すリーダーの特徴を浮き彫りにし、今後このようなリーダーを選ばないため、またはこのようなリーダーにならないために何が必要かを考えてみたいと思います。

チームとは?

 チームの良いところは、メンバーが信頼し合い協力し合うことで、個々の力を超えた成果を生み出せる点にあります。リーダーの行動は、チームの信頼と協力に大きな影響を与えます。チームを壊すリーダーとは、信頼の構築を阻害するリーダーです。例えば、「言っていることとやっていることが違うリーダー」は、チームを破壊する可能性が高いと言えます。

 パワハラは、チームを壊すリーダーの行動の一つに過ぎません。パワハラは直接の被害者だけでなく、周囲のメンバーにも悪影響を及ぼします。どんな組織やチームでも、その目的は社会にとって良いことを達成することのはずです。その組織やチームのリーダーが身近な人に対してハラスメント行為を行うことは、「言っていることとやっていることが違う」状態を生み出します。

 リーダーが掲げる理念やビジョンと実際の行動が一致していない場合、チームメンバーの信頼を失い、協力関係が崩れてしまいます。このようなリーダーの存在は、チーム全体の士気を低下させ、結果的に組織全体の機能に悪影響を及ぼします。信頼を築くためには、リーダー自身が言動一致した一貫性のある行動を取り続けることが必要です。

「生まれ変わって信頼を再構築したい」発言の危なさ

 私が「生まれ変わって信頼を再構築したい」という発言が危ないと感じるのは、絶対にできないことをやりますという点です。チームを破壊するリーダーはこれと同じように言行不一致なことをする人です。この場合、彼が言ったことをその通りに実現しようとしたら、本来何をすべきだったか考えてみましょう。

①「生まれ変わって」 物理的に生まれ変わることは不可能です。この場面でできる「生まれ変わる」に近い行動とは、即辞任して再度選挙で県民の信任を得ることではないでしょうか。県民から改めて信任されれば、「生まれ変わって仕事をする機会が得られた」と言えるかもしれません。しかし、本来言いたいのは「もうしませんから今のままで許して」ということでしょう。それならばそう言えばよかったのです。事実をごまかして都合の良いことを言う人を信頼するのは無理なことです。

②「信頼を再構築」 そもそも彼はまだ信頼されていません。最初に兵庫県知事に選ばれた時には信任を得ただけです。信頼は、県民から任された仕事を通してこれから築いていくものです。まだ信頼をされていないのに「再構築」というのは意味が通りません。彼は信頼がどういうものなのか知らなかったので「再構築」と言ってしまったのでしょう。残念ながら、不可能なことをできると言える人を信頼することはできません。

信頼の役割

 信頼は、組織やチームが効果的に機能するための絶対的な基盤です。メンバー同士の連携の促進も、モチベーションの向上も、問題解決の迅速化も、信頼があってこそです。信頼の役割を人間の身体で例えるならば「腱(けん)」です。組織やチームでは様々な役割をこなす部署やメンバーがいます。身体で例えるならば、それぞれの役割が骨や筋肉です。どんなに骨や筋肉を強化しても、それぞれがしっかりとした「腱(けん)」でつながれていなければ身体を動かすことはできません。「信頼はチーム内の腱」、それが組織やチームにおける信頼の役割です。

 リーダーが信頼を構築する前に、いくら部署やメンバーを強化しようとしても、チームは機能しません。どんなに立派な理念やビジョンを示されても、信頼する人からの言葉でしか、その通りに行動することはできないからです。

信頼構築の構造

 私たちは、大きな成果をあげるとそれに見合った大きな信頼が獲得できると考えています。自分自身の今までを振り返ってみてください。事実はその通りでしょうか?

 大金を稼いだ人、大きなタイトルを獲得した人、大きな組織の長になった人、有名になった人、そういう人は確かに信頼できる人に違いない。そう思いがちですが、実際にそうでしょうか。「信頼できる人もいれば信頼してはいけない人もいる」というのが現実だと思います。

 事実は「大きな成果=大きな信頼」ではありません。

 信頼構築の構造は「言ったことが言ったとおりに実現する」× 回数です。大きさは関係ありません。待ち合わせの時間など小さな約束事でも、お互いに言ったことが言ったとおりに実現するように行動していくことで信頼が構築されていきます。どんなに大きなことを達成しても1回は1回と考えます。大きな達成の過程でいくつもの不義理を重ねていれば信頼はマイナスです。大きなことを成し遂げれば全てのことをチャラにできると考えるのは都合の良い妄信です。人は自分にされた嫌なことは忘れません。

 リーダーになる人は信頼の役割と信頼構築の構造を理解して行動できると、チームが有効に機能するようになるはずです。ぜひお試しください。

信頼できる人、信頼できるチームとは?

 「言ってることとやってることが違う人」 「決めたことが決めた通りにならない組織」 を信頼することができますか?

 信頼は、お互いに言ったことを言ったとおりに実現することでしか構築できません。とはいえ、「一度口にしたことは死んでも守れ」という姿勢では信頼は構築できません。お互いに言ったことが言ったとおりに実現するように協力していくことで信頼が育つのです。

 例えば、デートの約束をした場合、待ち合わせの日時を決めて当日まで放置するのではなく、途中で適度に連絡を取り合うことで信頼を築くことができます。小さな確認のメッセージやリマインダーが、相手に対する思いやりや誠実さを示し、信頼関係を深める重要な要素となります。

 会社においても、途中で適度に連絡を取り合うことが信頼を築く鍵です。小さな確認のメッセージやリマインダー、定期的な進捗報告は、相手に対する思いやりや誠実さを示し、信頼関係を深める重要な要素となります。信頼関係が築かれることで、個人間でもチーム全体でも、より良い成果が期待できます。逆に、期限まで放置して「なんでできてないんだ」と怒る結果になってしまうと仕事がうまくいかず信頼も傷つくことになります。

 繰り返しになりますが、お互いに言ったことが言ったとおりに実現するように協力していくことで信頼が育つのです。

 具体的なチーム練習の方法などもありますので、別の記事で詳しく紹介していきたいと思います。

パワハラ気質なリーダー

 今回は、兵庫県知事のニュースが話題になっていたので事例として考えてみました。パワハラ気質の人がいるとチームは明るさを失って停滞します。パワハラ気質がある人にありがちな「上か下」「勝つか負けるか」にこだわる人は、人間関係もそうやってできると考えています。勝ったものが負けたものより偉い、下の人は上の人に従う、それが人間関係のイメージです。そこに信頼なんて必要ありません。彼にとって信頼は感じたことのない未知の概念ではないでしょうか。お互いの信頼によって良い人間関係を繋げて機能させていくといったイメージとは、まったく別の世界観です。

 このケースの場合、知事になることは人の上に立つことで自分の承認欲求を満たすために必要なトロフィーだったのでしょう。誰かの役に立とうとか、兵庫県のためにとか、そんな考えはおそらく希薄です。東大を出て官僚になった優秀な自分が、さらに優秀だと思うにちょうど良いトロフィーがたまたま知事だったということです。そして手にしたトロフィーに見合った報酬や賞賛や信頼が自動的にセットでついてくるものだと思い込んでいます。

 東大、官僚、知事、というトロフィーの力で、当然に自分は信頼されていると勘違いしているようです。事実は違います。繰り返しになりますが、知事になって得たのは県民からの付託だけです。信頼は、知事としての仕事を通して築かれます。賞賛は、さらにその先の話です。政治の世界以外でも、そんなことすらわからないリーダーが多いのも現実です。

 リーダーのパワハラ問題がようやく問題視されるようになったことは、歓迎すべきことです。「なんでもパワハラって言いやがって」と嘆く世代にとっては、自分に矢印を向けられている気がして、気分が悪いのかもしれません。しかし、パワハラを受ける側にとって、パワハラリーダーは人生上の大問題です。こうした問題が社会で取り上げられるようになることは、健全な社会として当然の進化だと思います。

 私はハラスメント気質のリーダーの下で働いたことがあります。その時は、ただひたすらに不快でした。終わりのない我慢を続けることは心身に多大な影響を引き起こします。結局心が限界に至り鬱になりました。同様の経験をされた方はきっと多いと思います。

まとめ

 どんなチームも組織も人の集まりです。人の集まりである以上、人と人の間を信頼でつながない限り、チームや組織として期待する成果を上げる動きはできません。チームや組織を有効に機能させたいなら最初に信頼を構築しなければその先はありません。そのために信頼構築の構造を理解して皆さんの職場やチームに応用して使用して欲しいと願っています。

 信頼構築の構造が上手に使えるようになれば、パワハラはもちろん圧力を使ってメンバーをコントロールする必要もなくなります。その先には働きやすい職場や自走型の組織などが現実になっていきます。そのためには理解するだけでなく練習することが大切です。特にチーム練習。スポーツではチーム連携の練習が必須なのに、会社ではチーム連携の練習をしないです。そのことが日本の職場の機能不全の原因なのではないでしょうか。ぜひ信頼構築の構造をチーム練習して職場をよりよく機能するチームにしていってください。

 私は、働くすべての人が仕事で「幸せ」を感じられる社会を整えていきたいと願っています。信頼構築の構造を職場に取り入れたいと思う方、何から始めれば良いのか分からないという方は、遠慮なくShineBrightにご相談ください。

  ShineBrightでは、職場でチーム練習を効果的に導入し、チーム全体の機能性を高めるための支援を行っています。特に練習導入の初期段階では、戸惑いや課題が集中しがちです。このようなとき、第三者の視点や外部からのアプローチが大きな助けになります。

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