令和の5Sブログ

自走型組織をつくるには──コントロールより信頼

自走型組織をつくるには──コントロールより信頼を示す図

“心配と期待という呪いの言葉”を手放したとき、成果は動き出す

「期待しているぞ」
そう声をかけられた社員は、一瞬うれしそうに笑顔を見せます。
しかし数週間後──成果が出なければ「期待していたのに」と責められ、成果が出ても「俺の期待通りだな」と上書きされる。

結局、社員には「どちらに転んでも自由はない」という感覚だけが残り、やる気は削がれ、組織は静かに停滞していきます。

同じようなことは家庭でも起きています。
「心配だから」と子どもの選択を止める。
「期待しているから」と自由を奪う。
どちらも愛情の言葉に見えて、実際には相手をコントロールしたい“呪いの言葉”です。

経営者が口にする「心配している」「期待している」も、これと同じ構造を持っています。
善意に見えるその言葉が、組織の成果を静かに奪い、自走型組織の芽を摘んでいる──そう考えたことはあるでしょうか?

第1章:心配と期待に潜む“支配と依存”

善意に見えて、実は危うい意図

心配や期待が湧き上がるのは、確かに自然なことです。
大切な人のことを思えば、心は動く。

しかし絶対に忘れてはいけないのは──
心配や期待は、すべて自分の心の内側だけで起きている出来事にすぎない ということです。

相手には何の関係もありません。
それは単に、リーダー自身の内側だけで起きている体験にすぎないのです。

支配欲と依存心が潜んでいる

そして心配や期待という行為の中には、必ず二つのものが潜んでいます。

他人をコントロールしたい欲求
自分の欠乏感を満たしたい依存心

これらは、社員や子どもの自由や主体性を奪い、リーダー自身の安心のために相手を利用しているにすぎません。

第2章:感情では権利も成果も生まれない

感情を“口実”にしてはいけない

ここからが本当に大切な話です。

「あなたのことを心配しているから」
「期待しているから」
「あなたのことが大切だから」

こんな理由さえあれば、私には相手に口を出す権利がある──そう思っていないでしょうか?

権利は生じない、成果も生まれない

断言しましょう。
そんな権利は1ミリたりとも存在しません。

あなたが心配したからといって、相手がその通りに行動する義務はない。
あなたが期待したからといって、相手がそれに応える責任もない。

感情では、権利は生じない。成果も生まれない。
それは鉄則です。

相手があなたの心配どおりになっても、期待を裏切っても、
それを“口実”に責め立てる資格など、そもそもないのです。

第3章:良心の衣をまとったコントロール

心配や期待の言葉の裏には、たいてい「コントロール欲」が隠れています。
しかもやっかいなのは、それが「良心の衣」をまとっていることです。

「あなたのためを思って」
「大事に思っているから」

こうした言葉は一見愛情に聞こえますが、実際には自分の不安や欠乏感を処理させるための支配です。
これは組織にとって最も幼稚で危険なコントロールのかたちです。

ルールや権力による指示ならまだ潔さがあります。
だが、心配や期待を使った支配は見えにくく、分かりにくい。
だからこそ卑怯で、幼稚で、組織を壊すのです。

第4章:典型例──家庭と職場で起きること

親子の場面

親が「心配だから」と言いながら子どもの選択を制限する。
「期待している」と言いながら、子どもの自由を奪う。
それは成長を促すどころか、子どもの自信を奪い、未来を狭める呪いになる。

結局「私の言った通りにしてほしい」という、親の欲でしかない。

職場の場面

リーダーや上司が「期待している」と口にするときはたいがい、
結果が出れば「俺の期待通り」と成果の上書き、
結果が出なければ「期待していたのに」と責められる。

上司だけは元気で、仕事をしている雰囲気を出す一方、メンバーは疲れ果て、表情が死んでいく。

経営者は気をつけなければならない。
こうしたリーダーを放置すれば、組織は静かに、しかし確実に壊されるのです。

SNSの場面

SNSでも同じことが起きています。

「心配だから」「期待してるから」──

そんな一見“善意のアドバイス”に見える投稿も、
実際には相手に罪悪感を植え付け、行動をコントロールする卑怯な手口にすぎません。

応援や感謝なら相手を自由にするのに対し、
非難の書き込みは相手を縛りつけ、萎縮させ、挑戦する力を奪ってしまう。

こうしたSNSでの干渉は、相手にとっても、自分にとっても、そして社会全体にとっても百害あって一利なしです。
──絶対にやめた方がいい。

第5章:成果を止める“細部の悪魔”

「言った通りになったな」
「心配しただろ」
「期待していたのに」

日常会話の些細な言葉にも、支配の影は潜んでいます。
悪魔は細部に宿る。

リーダーが何気なく放った一言が、成果を横取りし、社員の挑戦を萎縮させ、主体性を殺し、成果を止めるのです。

経営者ほど注意が必要です。

第6章:どうすればいいのか?

では、どうすればよいのか。

まず自問

まずは自分に問いかけることから始まります。

「これは本当に相手のためか?
それとも、自分の不安や欠乏感を満たしたいだけか?」

その問いこそが、心配や期待をするという衝動を押しとどめる防波堤になります。

次に信頼の仕組化

そして次に必要なのは、信頼を仕組みにすることです。

① 心配や期待を口にする代わりに、願いと信頼を渡す。
②「任せる」「信じている」という言葉を繰り返す。
③ 成果を上げる仕組みを“整理解決”という形で組織に埋め込む。

信頼は単なる感情ではありません。
設計し、仕組みに変えれば、組織は必ず自走を始めます。

第7章:人ではなく“事実”に注目する

多くのリーダーは、人に注目するあまり
「心配している」「期待している」という言葉を使ってしまいます。
一見すると相手を思いやる良い行為に見えますが、実際には相手を縛る呪いとなります。

大切なのは、人ではなく事実の進捗に注目することです。

◇ 会議やプロジェクトがどこまで進んだのか
◇ 課題がどう扱われ、どんな一歩が積み重なったのか

”事実”の積み重ねだけが、やがて信頼に変わります。
人を心配しても期待しても、あてにはできません。

このシンプルな真実に気づいたとき、
経営者は「人をあてにする」のではなく「事実の進捗をあてにできる」組織づくりへとシフトできるのです。

まとめ

心配や期待は自然に湧く感情ですが、そこには支配欲や依存心が潜みます。
それを相手に押しつけることは、組織の成果を奪う“呪いの言葉”となります。

経営者に問われているのは──
「人を罪悪感で動かすのか、信頼で動かすのか」という選択です。

信頼を仕組みにできるリーダーだけが、組織を自走させ、成果を継続させられる。
家庭でも、社会でも、そして経営の現場でも同じです。

──心配や期待で縛るのではなく、願いと信頼で支える
それこそが、人と組織を自由にし、未来を輝かせる唯一の道なのです。

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