令和の5Sブログ

散らかっている会社が抱える真の問題とは? 5Sや環境整備では解決できない「会社の本当の病根」に迫る

良い会社とそうでない会社を表しています

5S環境整備で良くなる会社と、良くならない会社

私が5Sや環境整備を活用して中小企業の経営改善をサポートするコンサルティングを始めた時、「5Sを徹底すれば必ず会社は良くなる」と確信していました。

それは、私が在籍した中小企業で5S活動が上手く機能して成果を実感できた経験からです。

しかし、後になって気づいたのは、私の場合は「偶然上手くいった」ということでした。

多くの企業で、実際に改善活動を進める中で、「5Sを徹底すれば必ず会社は良くなる」という確信が大きく揺らいだのです。

5Sや環境整備をツールに会社を良くするというコンサルティングの仕事を通して、私が直面した現実は「5S環境整備で良くなる会社もあれば、そうでない会社もある」という事実です。

そして驚いたことに、5S活動を導入しても思うように改善しない、またはまったく変わらない会社の方がむしろ多いということに気付かされました。

その事実は、5S活動や環境整備を徹底すれば必ず会社は良くなることを前提として起業をした私にとってはかなり痛い事実であり、事業の運営上由々しき事態です。

追い込まれ、サービス内容や事業の見直しに向き合わざるを得ない状況になって初めて、5S活動や環境整備の本質が見えてきました。事実として、5S活動や環境整備で片付けや掃除を徹底したとしてもそれだけでは、会社は良くならないのです。

この記事では、私が現場で体験した「5Sや環境整備で良くなる会社と良くならない会社の違い」についてお話しします。

そして、本当に会社を良くするために必要なことについても具体的に解説します。

読者の皆さんが自社を良い方向に導くヒントになることを願っています。

5Sや環境整備で良くなる会社の特徴

まずは、5S活動や環境整備で成功し、会社が良くなった会社の特徴から見ていきましょう。5S活動が効果を発揮している会社にはいくつかの共通点があります。

1 もともと社員がよく鍛えられている

5S活動や環境整備を自力で成功する会社は、もとから社員がよく鍛えられているという特徴があります。

ここで言う「鍛えられている」とは、単に業務をこなす能力があるだけではなく、社員一人ひとりが自分で考え、行動できる力を持っているということです。

こうした会社の社員は、自分の役割を理解し、日々の業務の中で問題点を見つけ、それをどう改善すべきかを考える力が備わっています。そのため、5S活動が単なるルールの遵守に終わらず、現場の効率化や品質の向上といった形で具体的な成果を生み出すのです。

このように社員がよく鍛えられている会社は、5Sや環境整備に取り組む前から、さまざまな社員教育が行われている会社です。

教育によって、社員が自ら考え行動する基盤が作られており、これに5Sや環境整備の取り組みが加わることで、会社全体の改善が加速します。

実際、社員教育や業務改善の取り組みを行っただけでは、目に見える変化を感じにくい場合もありますが、5Sや環境整備を「最後のピース」として取り入れることで、社員の意識や行動に明らかな変化が現れることがあります。

これが、5Sや環境整備を自力で成功する会社の正体です。

2 社長が社員に目を向けている

5Sや環境整備で成功する会社のもう一つの特徴は、社長が社員にしっかりと目を向けていることです。

ただ業績を追い求めるだけではなく、社員が働きやすい環境作りや、一人ひとりの成長に対して深い関心を持っているのです。

こうした社長の姿勢があると、社員も自然と自分の仕事に誇りを持ち、日々の業務に前向きに取り組むようになります。

働きやすい環境が整えられると、5S活動もスムーズに進むようになります。5Sは単なる職場の整理整頓ではなく、現場の人の動きや、働く人の意識や心理的な側面も大きく影響します。

社員が「この会社で成長できる」と感じている会社では、5Sも定着し、効果を発揮しやすいのです。

一方で、社員の変化に鈍感な社長のもとでは、5S活動は形だけのものになってしまうことが多いです。社員が「これは業績には関係ない」と感じてしまうと、5S活動にエネルギーや時間を注ぐ意義を見出せず、結局、形骸化してしまいます。

社長が社員を大切にし、社員の成長をサポートする姿勢があるかどうかが、5S活動の成否を大きく左右するのです。

5Sや環境整備で成功する会社にはもともとこういった社長の姿勢がある場合が多いです。

3 社長が先頭に立っている

5Sや環境整備を自力で成功する会社の大きな特徴の一つは、社長自身が先頭に立って5S活動を実践していることです。

社長が積極的に参加し、自ら模範を示すことで、社員もその姿勢に影響されて積極的に取り組むようになります。

逆に、社長が「自分は現場には関与しない」といった態度を取ってしまうと、社員は「社長は5Sに興味がない」と感じ、5S活動が形だけのものになってしまいます。

社員が「上がやる気を見せていないのに、自分たちがやる意味はあるのか?」と思い始めた時点で、5Sは効果を発揮しなくなります。

そのため、社長のリーダーシップが5S活動の成功を左右するカギなのです。

私のような外部コンサルタントが関与しない限り、5S活動が自力で成功している会社は、ほとんどがこのパターンです。

社長が自ら率先して行動することで、会社全体が改善へと動き出します。ボトムアップ型の5S活動や環境整備が成功するケースは非常に稀です。私の経験上、現実ではほとんど見られません。

5Sや環境整備で良くならない会社の特徴

次に、5Sや環境整備を導入してもうまくいかない、または思うように効果が出ない会社の特徴について解説します。

これらの特徴を知ることで、皆さんの会社がどのような改善を必要としているか、見えてくるかもしれません。

1 5Sや環境整備をすれば、なんとかなると期待している

「5Sをやれば何とかなる」という考え方で取り組む会社は、本質的な改善につながりません。5Sはあくまで手段であり、それだけで会社が劇的に変わるわけがありません。

例えば、「とりあえず整理整頓をやれば、業績が上がるだろう」という漠然とした期待感で始めても、実際には片付けだけでは解決しない根本的な問題が残る場合が多いです。

5S活動を形だけ導入しても、会社は良くならないのです。

2 社長が行きあたりばったり

経営がうまくいかない会社では、社長の方針が行きあたりばったりで計画性がないことがよく見られます。

日々の業務の中でコロコロと方針が変わり、社員は何を基準に動けば良いのか分からなくなります。

5S活動は計画的に進めることが重要です。長期的なビジョンを持たずに、その場しのぎの対応を繰り返す会社では、5Sが機能しません。

計画的な実行力と継続力が不可欠です。

3 現状と向き合わない

現実から目を背け、自社の課題を直視しない会社もまた、5Sがうまくいきません。

例えば、散らかっている現場を見て見ぬふりをし、「時間がない」「忙しい」という言い訳をして問題を先送りにする経営者の会社の場合です。

現状としっかり向き合わなければ、改善は始まりません。5S活動は単なる物の整理整頓ではなく、現場の問題点を明確にし、解決に向けた行動を取るための手段です。

まずは自分の会社が抱える課題に正面から向き合うことが必要です。

4 何をやっても途中で挫折している

5S活動が始まっても、最初の勢いだけで途中で挫折してしまう会社は多いです。継続力が欠けているために、効果を出す前に諦めてしまうのです。

これは5S活動だけでなく、他の改善活動や新しい取り組みでもよく見られる問題です。

継続して取り組むことで、初めて5S活動の効果が現れます。短期的に結果が出ないからといって、途中で諦めるのではなく、地道に継続する姿勢が大切です。

5Sや環境整備で良くならない会社は、それ以前に様々な業務改革や改善活動に失敗しています。それは散らかっていることが問題なのではありません。本当の病根が他にあるのです。

今度こそ、5S活動なら問題を解決できるかもしれないと活動を始めたとしても、本当の病根は片付けや掃除では治るものではないのです。やるべきことが他にあります。

5 事業の都合より社長の都合が優先されている

最も危険なのが、事業の都合よりも社長の個人的な都合が優先される会社です。

社長が「自分の好き嫌い」で方針を決めたり、現場の意見を無視して自分の都合で評価をしたりするような場合、社員は5S活動する意味を失い、活動が形骸化してしまいます。

このような場合、5S活動や環境整備以前に、社長自身が事業の成長を第一に考え、一貫した判断基準を持ち、組織全体の未来を見据えて行動することが重要です。

片付けや掃除を徹底して良くなるのは、効率だけという残念な事実

5Sや環境整備を徹底すると、確かに効率は向上します。作業環境が整理されていれば、無駄な動きや時間のロスが減り、作業のスピードも上がるでしょう。

しかし、ここで気をつけなければならないのは、片付けや掃除だけでは会社全体が良くなるわけではないということです。

効率は会社が良くなるための要素の一つに過ぎません。会社が本当に良くならない原因の本質は、モノ以外の部分が「全部散らかっている」ことにあります。

例えば、人間関係の不和、コミュニケーションの不足、経営方針の不明確さなど、目に見えない部分での問題が解決されない限り、5S活動がいくら進んでも会社の根本的な改善には至りません。

片付けや掃除が行き届いた会社は、良い会社の可能性が高いといえます。しかし必ず良い会社かといえば、そんなことはありません。片付けや掃除が行き届いた会社と良い会社は別です。

散らかっている会社の本当の問題

散らかっている会社の問題とは、いったい何なのか?

散らかっている会社の状況を言語化すると「問題発生速度に対し問題解決速度が足りていない会社」のことです。 

仕事をしていれば、必ず日々大小の問題が発生し続けます。会社の問題発生速度に問題解決速度が足りない場合、未解決の問題が溜まり続けます。

解決ができずに放置された残骸が、散らかっているモノの正体です。モノが散らかっている会社は、問題発生速度に対して問題解決速度が遅いのです。

モノが散らかっている状況を見れば、ある程度その会社の状況がわかるのはそういう理由です。

良い会社にするために本当に必要なこと

では、会社を本当によくするためには何が必要なのでしょうか

ここで重要なのが、**「問題発生速度に対して問題解決速度が足りない状況を改善すること」**です。

問題発生速度に問題解決速度が追いついていない

繰り返しになりますが、多くの会社が抱える問題は、問題発生の速度に対して、それを解決する速度が追いついていないということです。

新たな問題が次々と発生しているのに、それに対して適切な対応が取られないまま放置されてしまう。

これでは、どれだけ5S活動を頑張っても、根本的な問題が解決されず、業績も改善しません。

問題発生速度に解決速度が追いつかないと社員のやる気が破壊される

解決されない問題が蓄積すると、社員の士気はどんどん低下します。

毎日の業務の中で、問題に直面しても解決されない状態が続くと、社員は「どうせ何をやっても無駄だ」と感じてしまい、やる気を失ってしまいます。

これが会社の全体的な満足度を低下させ、さらには業績にも悪影響を与えます。

やらなければならないことは、片付けや掃除ではなく、問題発生速度より問題解決速度を高めることです。

問題解決速度をアップするには

では、問題解決速度を上げるとどうなるのでしょうか

1 問題解決速度が問題発生速度を上回ると未来がポジティブに変わる

問題解決速度が問題発生速度を上回ると、会社の未来は大きく変わります。

日々の仕事をこなす以外に、余裕が生まれた時間とエネルギーを明るい未来のために投資できるようになるからです。

問題が発生するたびに迅速に解決される環境では、社員は自信と余裕を持って業務に取り組むことができ、会社全体がポジティブなサイクルに入ります。

このサイクルが続くと、社員の満足度が高まり、結果的に業績も向上します。

2 問題解決速度を上げる方法

会社全体の問題解決速度を上げるためには、「問題解決の文化」を築くことが非常に重要です。

これを実現するためには、経営者が積極的に問題解決に向けた取り組みを推進し、社員に自分たちで解決策を考え、行動に移す機会を与えることが求められます。

その文化を作り上げる上で、5S活動や環境整備をツールとして活用することは非常に有効です。

企業再生や業務改革の成功事例でよく聞かれる「まず徹底的に掃除から始めた」という話が多いのは、この背景があるからです。

整理整頓や掃除を通じて、現場の問題を目に見える形で解決していくことが、問題解決能力を育むための良い練習になるのです。

また、定期的な会議やミーティングを活用し、現場の問題をすぐに共有し、解決策を即実行に移せる体制を整えることも大切です。

5S活動や環境整備は、こうした現場の小さな問題から解決策を見つけ出す「問題解決の練習場」として機能します。

つまり、5S活動や環境整備の目的は、問題解決能力の高い会社を作るための練習環境を提供することだと言えます。

この基礎をしっかり固めることで、会社全体がスムーズに問題を解決できる体質に変わり、最終的にはより大きな成長に繋がっていくのです。

3 今こそ問題解決能力のアップに取り組む時

現代は変化が激しく、何が正解か分からない状況が続いています。そんな中で、会社が生き残り、成長していくためには、組織全体の問題解決能力を高めることが欠かせません

これからの時代、予期しない問題や新しい課題が次々と発生します。それに対して、ただ待っているのではなく、迅速かつ的確に解決する力が求められます

この能力が備わっていないと、どんなに優れたビジネスモデルや技術があっても、組織は次第に停滞してしまいます。

問題解決能力を高めることは、単なる対処法の向上ではなく、組織全体が柔軟に対応できる体制を作ることに繋がります。

社員一人ひとりが問題を的確に捉え、迅速に解決策を見つけ出す。この連携が組織全体でできるようになれば、企業は予測不能な未来にも適応し、持続的に成長していくことが可能です。

今こそ、チーム全体で問題解決力を高める時です。これを強化することで、会社はどんな変化の中でも自信を持って進んでいくことができるようになります。

まとめ:問題解決の力を高め、未来をポジティブに変えるために

5S活動や環境整備は、会社を改善するための大切なツールの一つです。

しかし、それだけでは本質的な変化を起こすには不十分です。

本当に重要なのは、現場で発生する問題に対してそれを上回る速度で解決できる力を養うことです。

この力を高めることで、会社全体が良い方向に進み、社員の満足度が向上し、業績も伸びていきます。

今回の記事では、5S活動や環境整備がうまくいく会社の特徴として、以下のポイントを挙げました

「社員が鍛えられている」
「社長が社員に目を向けている」
「社長が先頭に立っている」

ただし、ここでお伝えしたかったのは、これらの条件は自力で5S活動に成功している会社のことです。

しかし、この条件を満たしている会社は希少種です。

もし、今現在、「社員がまだ鍛えられていない」「社長が社員に十分目を向けられていない」「社長が先頭に立てていない」と感じている場合でも、全く問題ありません。

ShineBrightのコンサルティングは、まさにそういった状況の企業を支援するためにあります。

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