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日本経済を活性化し成長させるために、多くの企業がイノベーションと効率性の向上を模索しています。その中で、職場でのチームビルディングは重要な要素の一つです。チームが効果的に機能することは、従業員のモチベーション向上、コミュニケーションの強化、そして生産性の向上に直結するからです。なぜならば、会社はチームですから。チームとは単なる個人の集まりではなく、お互いが機能することによって何倍もの成果を上げられる集団のことだからです。
しかし、実際のところ、日本の職場ではチームの機能不全が蔓延しています。和を持って貴しとなすこの日本で、どうして他国と比較してチームの生産性が低くなってしまうのか。私が仕事の現場で見ている範囲で恐縮ですが、この問題の中に、日本経済や日本の社会の停滞感を打ち破るカギがあると思われるのです。
本来、日本人はチームで協力し合う世界一高度な技術を持っています。ところが現状は、最も得意なはずのその分野が機能不全になっているのです。それは残念なことではありますが、逆から考えてみれば、手つかずの伸びしろが無限に広がっているともいえるでしょう。そう考えると職場のチームを有効に機能させることは、何よりも手っ取り早い日本経済の伸びしろではないでしょうか。
今回は、そんな伸びしろをどうしたら私たちの成長に繋げることができるのかについて考えたいと思います。答えは意外とシンプルなので、ぜひ最後までお読みいただければお役立ていただけるのではないかと思います。
日本企業が停滞気味なのに対し、昨今の日本スポーツ界は多くの競技で世界で躍進を続けています。男女に関わらず、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ラグビー、野球、さらにはバドミントンや卓球など、挙げればきりがありません。
個々の体格や身体能力ではけっして優位とは言えない日本人ですが、そんな日本人が様々なスポーツ競技で世界で勝負できているのには共通点があります。それがチームワークの技術です。
陸上男子400mリレー日本代表チームの例はとてもわかりやすいと思います。陸上競技の100m走では日本の選手たちはかなり速いとはいえ、世界トップと比べると力の差があります。オリンピックや世界陸上で決勝レースに残れるかどうかが勝負というところです。ところが、400mリレーになると今までにオリンピックや世界陸上で銀メダルや銅メダルを獲得している強豪チームになります。
陸上男子400mリレー日本代表チームの強さは、卓越したチームワークと「和」の文化による協調性に裏打ちされています。緻密なバトンパス技術、継続的な努力、そして科学的なデータ分析や戦略的配置が組み合わさることで、彼らは世界でも屈指の競技力を発揮しています。このような要素が日本チームの強さを支えているのです。
世界のどのチームも日本のようなチームワークは、やろうと思ってもなかなか構築できないようです。日本で育った私たちは、自覚なしに、そうした宝のような技術を持っているのです。
日本スポーツ界が活況を呈している一方で、日本の経済界は長年の停滞感が否めません。かつて世界を牽引していた立場から一転し、現在は多くの面で世界に遅れを取るようになりました。残念ながら、現状の日本の経済界には前向きな明るさを感じることは少なく、日本の職場文化は低い生産性の象徴とされています。
では、なぜスポーツ界と経済界でこれほどの違いが生まれるのでしょうか?この違いを考えることで、自分の職場、ひいては日本経済の閉塞感を打ち破る方法がみえてきます。
スポーツにおける練習を大きく分けると2つ。それは個人練習とチーム練習です。バスケットで例えるなら、ドリブル練習やシュート練習、筋トレやランニング、などは個人練習です。一方、パスの受け渡しやディフェンスのフォーメーション、試合形式の練習などはチーム練習にあたります。
個人練習では、各選手が自分の技術を高めることが目的です。これに対して、チーム練習では、選手たちが連携して効果的にプレイすることが求められます。例えば、バスケットボールでは、パスのタイミングやスクリーンの使い方、ゾーンディフェンスの動きなど、複数の選手が一体となって動くことが重要です。チーム連携の練習なしには強いチームになれません。スポーツでの日本チームの強みはまさにここだといえます。
しかし、職場ではどうでしょうか?多くの企業では、個人のスキル向上には力を入れているものの、チーム全体の連携を強化するための具体的な練習はほとんど行われていません。社員が各自の業務に専念し、個々の能力を高めることに注力するのはもちろん重要ですが、チームとしての協力や連携が疎かになってしまっているケースが多いです。
例えば、仕事上のトラブルがあった時のことを考えてみましょう。
上司「担当は誰だ?」 「どうしてこうなった?」部下「これこれこういう理由で、このような問題が発生しました。」上司「それは言い訳では?」 「担当者の責任として二度とこのようなことが起こらないようにしてください。」
これは、私が会社に勤めていた時に、よくあったやりとりです。似たようなやり取りは多くの組織でも見られるのではないでしょうか。この場合、問題の原因を個人の注意不足や努力不足として扱い、解決方法は個人のさらなる努力に委ねられています。しかし会社もチームである以上、起きたトラブルはチーム全体の問題です。
もう少し本質を掘り下げてみれば、問題の原因は個人の能力や努力不足の場合もあるかもしれませんが、チームの構造上の問題である可能性もあります。チームの構造上の問題だった場合、今後この部下は上司の顔色をうかがい、チームにとって有用なフィードバックをすることを避けるでしょう。こうしてチームの機能不全が始まります。
この例は、上司も部下もお互いにチームとしての練習が必要な場面です。チームとして問題を解決していくのならば、以下のようなやりとりが理想的です。
上司「担当は誰だ?」 「どうしてこうなった?」部下「これこれこういう理由で、このような問題が発生しました。」上司「どうすれば再発が防げると考えられますか?」部下「これこれこうしていけば解決できるかもしれません。」上司「それを具体的にするにはどうしたら良いと考えられますか?」 「そのために私が手伝えることはありますか?」
このように、問題が発生した際には、責任の所在を追及するだけでなく、チーム全体で再発防止策を考えることが重要です。上司と部下が協力して具体的な対策を立て、実行することで、同様の問題が再び発生することを防ぐことができます。 この項の冒頭の例では、上司の上司としての動き方が適切でないです。日本の職場にそういった上司が多いのは仕方がないことかもしれません。上司になるための学習も練習もしたことがなく、適性に関係なくある日突然上司になる人がほとんどだからです。さらに残念なことに、上司になった以降も、学習や練習の機会は少なく、日々本番だけこなすのが一般的だからです。職場でもチーム練習が必要な理由です。
チームスポーツの場合、トラブルに備えチームの連携を日々練習します。さらに、本番の試合の最中にも、常にチーム連携をメンテナンスし最適化を試みます。職場でチーム練習が行われないことの方が不思議です。
スポーツや音楽で例えると、練習の重要性は理解しやすいです。ところが、日常の身の回りのことになると、練習の重要性の認識が薄くなります。しかし、日常当たり前のようにしている「話す」「歩く」「箸を使う」などの行動も、生まれて間もなくからの練習のたまものです。練習とは、トライ&エラーの繰り返しと、それによって身に着けた技術のメンテナンス&バージョンアップの繰り返しだと言えます。練習量の違いはあっても、練習しないで出来ることは存在しないのです。
それなのに、どうして私たちは職場でのコミュニケーションやチームの連携には練習が必要ないと思い込んでいるのでしょうか? 雰囲気の悪い職場やチームマネジメントができないリーダーの存在は、その職場や特定の個人が悪いばかりではありません。誰も練習をしたことがないことの方が原因だと思いませんか?
私たちが周囲との人間関係づくりに必要なコミュニケーションを練習したのは主に家庭においてだと思います。特に親子関係から学び、練習した影響が色濃く反映されています。あたりまえですが、一つとして同じ環境はなく、それぞれがまったく違ったコミュニケーション方法を練習して身につけているのです。そうした一人一人がたまたま同じチームとなっているのが職場です。それなのに何も練習をしないで、チームとしてのコミュニケーションが機能するはずがないと思いませんか? 私は、そのような奇跡が起きた現場を見たことがありません。必要なのは練習です。職場でありがちな、個人の努力と我慢の押し付けでは、チームを機能させることは未来永劫できるようにならないのです。
とはいえ、職場でチーム練習をするイメージは、持ちづらいと思います。時間や人員や予算など色々な制約がある中で練習のために時間を使うのは難しいと思うのは無理もありません。
スポーツにおけるチーム練習を参考にしてみると良いと思います。特に試合中における連携のメンテナンス&バージョンアップや、試合後の課題フィードバックと次の試合に向けての練習課題の共有です。職場でも日常業務の中にチーム練習の要素を入れていくことは可能です。私のクライアント先様でも、練習をするのは業務に関わる本物の課題を使ってやっています。私の体感では、これ以上に効果のある練習を知りません。
職場でコミュニケーション研修や課題解決研修を取り入れることは大切だと思います。しかしもっと重要なのは、その内容が職場の中で本当に使用され機能してこそです。業務の中で練習できない内容では意味がないと言わざるを得ません。
私がお勧めするのは、1日5分でも実際の課題解決にチームで取り組む事です。毎日の5分の練習で十分に効果が確認できます。事務所の整理整頓などわかりやすい課題からが良いです。詳しい練習方法については別の機会に詳細をお知らせしたいと思いますが、1日5分でいいならばどんな職場でもチーム練習を取り入れられると思います。
チーム練習をしてみると、わたしたち日本人はやはり和の国の住民なんだなと実感できます。そもそも職場という、育った環境と違う別の環境の中で、チームを機能させるコミュニケーション方法を知らなかっただけなのだということがよくわかります。それはお互いに協力してチームが機能できるようになると、メンバーの表情が明るくなるからです。みんな和が好きなのだなと感じます。
そんな世界に類をみないわたしたちの特性を活かさずにいるのは本当にもったいない。もしもあなたの職場が今はうまくいっていなくても、チーム練習をしたことがないということならば、その職場にはまだ手を付けていない無限の伸びしろがあるということです。
職場でのチーム練習をぜひお試しください。
スポーツの現場で昭和のやり方から次世代のやり方へと大きな変化が起きたのは、ラグビーやサッカーで変化が始まってから20年近くになると感じています。色々な見方がありますが、総じて圧による「やらされ型」から自発による「自走型」のチームへの変化だったと思います。スポーツの世界はサイクルが早いため、やり方が変わってから数世代を経ており、その上で今の成果が現れていると言えます。
それに比べて、日本の多くの企業では世代交代のサイクルが長いです。失われた30年の間に世代交代が1サイクル回っているかどうかではないでしょうか? スポーツ界が令和の現在にキャッチアップしているのに対して、企業ではいまだに昭和や平成初期から変わっていないように見えることも多いです。Z世代にあたふたしている間に、世間ではもうα世代が話題になっているというのにです。
一度決まったことを変えることが苦手な日本ですが、少々やりすぎではと感じます。スポーツを見る限り、変わらないわけがないのです。スポーツ界で起きたことを企業で再現すれば良いだけです。もうそろそろ限界ではないでしょうか。もう変えたい、変わらなければならないという職場から変えていきましょう。それにはチーム練習から始めるのが最適です。
「チーム練習を取り入れたいけれど、何から始めれば良いのか分からない」「導入に不安がある」という方は、遠慮なくShineBrightにご相談ください。
ShineBrightでは、職場でチーム練習を効果的に導入し、チーム全体の機能性を高めるための支援を行っています。特に練習導入の初期段階では、戸惑いや課題が集中しがちです。このようなとき、第三者の視点や外部からのアプローチが大きな助けになります。
私たちが提供するサポートを活用することで、職場は次第に「自ら気づき、自ら動く」自走型のチームに変わっていきます。そして、このような変革がもたらすのは、社員一人ひとりが活気に満ち、明るい雰囲気に包まれた、チームがチームとして機能できる職場です。
チームワークの強化と、より良い職場環境の構築を目指す皆さま、ShineBrightと一緒に第一歩を踏み出しましょう!
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