令和の5Sブログ

ビッグモーターの「環境整備」が最悪な理由3選

ビッグモーターでの「社員戦慄の環境整備」

ビッグモーターのイメージ

 ビッグモーターに関する複数の問題がメディアで継続的に報じられました。その中でビッグモーターの社内で行われている「環境整備」に関する問題が浮き彫りにされています。この問題は「社員戦慄の環境整備」とも報じられていて、現役・OB社員の悲痛な証言の内容には私も驚きました。

 具体的には、環境整備点検と称し、毎月1回、副社長が他の本部の役員などを率いて各店舗を回るのが恒例行事ということです。それ自体は、環境整備に取り組む企業はとこでもやっていることなので理解ができます。しかし、その環境整備点検が社員の査定や人事にまで影響を及ぼし、中には挨拶の仕方が悪いとか、歩き方がおかしいとか、そんなことで『翌日から来なくていい』と言われ、事実上のクビ宣言が出されるとか。その恐怖のため、環境整備点検の前日は社員総出で徹夜の掃除をする。また、店舗前の街路樹を伐採&枯らすという違法行為にまで及ぶ。その理由が、枯葉一枚で大幅減点になってしまうため「やむなくやってしまった」だったり。これが本当なら、まさに狂気の環境整備といって過言ではありません。

 

 さらに、この「環境整備」が株式会社武蔵野の小山昇社長の経営指導の下で行われていたことに注目が集まりました。小山社長は、知床観光船事故の運航会社「知床遊覧船」にも経営指導をしており、その指導内容が再び注目されています。このことにより、株式会社武蔵野が勧める「経営計画書と環境整備」が大きな批判を受けているのが現在の状況です。

どうしてこんなことになってしまったのか?

 このような問題がでてきた今だからこそ、このブログ記事を通して、なぜビッグモーターの「環境整備」が最悪なのか、私が考える本来の「環境整備」のあり方とは何かを詳しくご紹介させていただきたいと思います。

 5S環境整備に特化したコンサルティング会社として事業を行っているShineBrightだからこそ、この問題について自らの見解を示す必要があると考えております。過去に株式会社武蔵野の環境整備指導を実体験しているからこそ語れることもあると思います。皆様には、最後までお読みいただければ幸いです。

ビッグモーターの「環境整備」が最悪な結末に至った理由 
その1 「環境整備の目的」が最悪

 ビッグモーターの環境整備の目的が最悪である理由について、詳しくご説明します。

 ビッグモーターの環境整備の目的は「言う事を聞かない社員に、無理やりでも言う事を聞かすため」です。それが、ビッグモーターの環境整備の目的が最悪だという理由です。どうしてそんなことが言えるのか、そのことについてお話していきます。

 そもそも「環境整備ってなんだ?」という話ですが、あなたは何のことだと思いますか?

 「そうじの徹底」とか、「整理整頓の徹底」とかが環境整備ではありません。それは、意味を後付けした解釈です。

 環境整備はもともと「環境を整えて備える」というだけの意味です。「自分が努力するだけでは、目的を達成するには足りないかもしれなくて。その場合には、周囲の環境の力も必要で、だから環境を整えると結果としてうまくいくようになるよ。」というのが「環境整備」の真の姿なわけです。

 一般的に「環境整備」とは、「目的を達成するために必要な場所や状況を整えるプロセス」を指します。だから、「○○のための環境整備」というように目的と対になってこそ、初めて「環境整備」が意味を持つのです。

 例えば、プロ野球選手になりたい小学生の場合なら「将来プロ野球選手になるための環境整備」です。外国語を身に着けたいならば「外国語がネイティブ並みに使えるようになるための環境整備」となります。どんな目的があるのかによってその内容は変わります。企業で考えた場合、例えば「工場の生産性を向上させるための環境整備」と「経営理念を実現するための環境整備」ではいかがでしょうか? 具体的な内容は、当然違ったものになると思いませんか。

 それでは、ビッグモーターの「環境整備」は何が目的だったのでしょうか?

ビッグモーターを経営指導している株式会社武蔵野の小山昇社長によると、「環境整備」の目的は「仕事をやりやすくする」ことだそうです。

 ここからは私見ですが、仕事をやりやすくすることが目的の「環境整備」ならば、そのための施策のひとつに「そうじの徹底」とか、「整理整頓の徹底」があるわけです。

 ややこしい話ですが、「そうじの徹底」とか「整理整頓の徹底」は仕事をやりやすくするための環境整備における施策のひとつでしかないのです。だから「そうじの徹底」とか「整理整頓の徹底」をするだけで仕事がやりやすくなるのかというと、「そんなわけはない」というのが正確な答えです。私も「そうじの徹底」「整理整頓の徹底」に一定以上の効果があることは確かに体験してはいますが、「それだけで十分か?」と問われれば「そんなわけはない」と答えます。

 「環境整備」=「そうじの徹底」「整理整頓の徹底」としてしまうのは、完全に手段が目的化しているといえます。この時点で本来の「環境整備」とは別物といっていいでしょう。こうして目的が「そうじの徹底をするための環境整備」に変質してしまった場合、その行きつく先は、「もっときれいに」という終わりなき要求の繰り返しになります。その結果として、意味のない「無駄な完璧主義」の温床ができあがります。

 ビッグモーターの環境整備は完全にその状態だったと推察します。

 もうひとつ、ビッグモーターの環境整備は「そうじの徹底」を盲目的に目的化したと見えますが、私は別に隠れた本当の目的があったのではないかと考えています。

 株式会社武蔵野の小山社長は自社の環境整備についてこんな話をしています。『武蔵野の環境整備は就業時間内の作業ですから、社員には、給料が支払われます。社員は、お金をもらっている以上、やらないわけにはいかない。だから、「嫌々ながら、しかたなく」やるのです。』ということです。

 私も「環境整備は就業時間内の作業で給料が支払われる」ことは当然だと思います。しかし『だから「嫌々ながら、しかたなく」やるのです。』という点には全く同意しません。私が普段の仕事の現場で見ている事実として、そんなことはありません。

 「株式会社武蔵野の環境整備」がこうなってしまった背景に、社員をまったく信用していないような考え方が透けて見えます。だからこそ、社員を仕組みで追い込んで言う事を聞かせるような「株式会社武蔵野の環境整備」が出来上がってしまったのでしょう。「社員が自発的に良いことをやるなんてありえない」というのが小山社長の発想の原点です。

 これは、小山社長が株式会社武蔵野の経営を引き継いだ1987年当時、小山社長が社員のことを「落ちこぼれ集団だった」と語るほど、社内の規律が乱れていたことが影響しているのだと思います。いつ潰れてもおかしくないという当時の株式会社武蔵野をなんとかするために、人材を鍛え、組織を改善し、高収益体質の実現を図り。そのために、どうしようもないダメ社員を、どうにかして戦力にするための「環境整備」をしたのです。

 「言う事を聞かない社員に、無理やりでも言う事を聞かす」そのための仕組化が株式会社武蔵野の「環境整備」の本質だとも言えます。「そうじ」や「整理整頓」はどんな企業の改善においても初手として非常に有効です。ですが、武蔵野では初手を通り越して社員をコントロールするツールとして「そうじの徹底」とか「整理整頓の徹底」が都合良く利用されたのだと思います。ただ、そのこと自体は1987年当時の時代背景では全く問題化することはなかったと思います。当時では、むしろ素晴らしい取り組みでした。

 「言う事を聞かない社員をなんとかする」という株式会社武蔵野のストーリーには、多くの中小企業経営者が共感したはずです。「混乱していてコントロールが効かない社内がおさまるならば」とカリスマである小山社長の経営指導に飛びつく気持ちはよくわかります。実際に救われた企業も多かったと思います。ビッグモーターもそういった中小企業の1社だったのでしょう。株式会社武蔵野の「環境整備」がビッグモーターにマッチした背景はこんな感じだっただろうと推察されます。

 さて冒頭の「ビッグモーターの環境整備の目的は何か?」ですが、株式会社武蔵野と同様に「言う事を聞かない社員に、無理やりでも言う事を聞かすため」です。そして、そのために恐怖で支配する「環境整備」をしているのです。

 ビッグモーターの今回の顛末を見ると、この目的はある意味達成されていたわけです。ただし、昭和は昔、令和の時代になった今では、その目的は最悪だというだけです。 ビッグモーターが7,000億円もの売り上げを上げる巨大企業に成長を続ける中では、客観的に自らの状況を見られなくなるのも仕方のないことではあったかもしれません。(結局、その売上や利益も詐欺や違法行為で積み上げたものだったわけですが・・・)しかし、どうあったとしてもパワハラや詐欺や違法行為が蔓延する状況にまで至るのは、ビッグモーターだけでなく株式会社武蔵野の経営指導の中にもおかしな要素があり、それにあおられた面があったことは間違いないでしょう。

ビッグモーターの「環境整備」が最悪な結末に至った理由 
その2 「環境整備のしくみ」が最悪

 そもそもの目的が「言う事を聞かない社員に、無理やりでも言う事を聞かすため」の「環境整備」ですから、そのためのしくみも最悪なものになるのも当然といえば当然です。
 ここでは、目的が最悪である点を抜きにしても、株式会社武蔵野の環境整備のしくみが最悪な理由をお伝えしていきます。

株式会社武蔵野の環境整備のしくみ

株式会社武蔵野の環境整備のしくみは簡単です。

1)マップの作成

環境整備をするべき場所をマップにして示します。

2)当番を決める

 マップを利用してやるべき環境整備の項目を考え、当番表を作成します。

3)環境整備点検

月に1回ほど、環境整備がしっかりとできているかの点検を行います。

と、これだけです。

株式会社武蔵野の経営指導を受けていない一般的な会社でも、社内の整理整頓をやっていこうとすると、このようなしくみになると思います。

一般的な会社でこのしくみを運用した場合のストーリーは、

1) 整理整頓しなくてはいけない場所をリストアップする

2) 当番を決める

これで実行してみると、

3)「ダラダラと続けている」か「自然消滅」する

というケースが多いのではないでしょうか。

「ダラダラと続けている」か「自然消滅」する結果を避けるために、株式会社武蔵野の環境整備では、環境整備点検を設けて継続するしくみにしているわけです。 この「ダラダラと続けている」か「自然消滅」という現象は、中小企業では実によく見受けられる現象です。そこに対して環境整備点検というしくみが実に有効に機能してしまいます。それが、株式会社武蔵野の環境整備が広く受け入れる理由だと思います。

環境整備点検の問題点

 一見すると何も問題がなさそうな環境整備点検のしくみですが、大きな問題点があります。

 環境整備点検とは、毎月1回、社長自らが全拠点・現場・事務所を残らず巡回し、チェック項目に従い隅々まで点検して点数化を行うイベントです。環境整備点検で満点を取った場合には、人事評価でのポイントとか食事会への招待とかのご褒美があります。そのため、社員は環境整備点検で満点を取るために環境整備に率先して取り組みます。

 もしも満点ではなく指摘事項があった場合には、社員は「今回の指摘事項をしっかりと改善し、次は満点を取りたいです!」となるわけです。なかなか強力なしくみですが、行き過ぎるとビッグモーターのように「お偉方が上から目線で難癖をつけにくるイベント」になる要素が最初から設定されています。環境整備点検の問題は、このしくみの構造にあります。

環境整備点検の構造とは、

□社員には、最初から「これをやったら100点」という答えが与えられます

□社員は100点のために取組みます

□取組の結果は点検する社長の評価次第です

□気に入れば100点。気に入らなければ指摘事項です

□その指摘によって次回の点検項目が設定されます

と、このような作りになっています。

 「答えを設定するのも、正誤を判断するのも、社員自らではない」というのが、環境整備点検の構造です。言いかえれば「社員は、与えられた答えをだすために動け」という構造です。この構造の本質は「他者からの指導や規則に従って行動する、他律の人材や組織をつくるためのしくみ」になっているのです。これが環境整備点検の問題点です。

自律組織をつくるためには最悪のしくみ

 これには、株式会社武蔵野の小山昇社長の組織に対しての考え方が大きく影響していると思います。

「トップの私が「右を向け」と命じれば、ただちに全員が右を向く。そして社員は命じられたことに疑問を挟まず、的確かつ迅速に実行する……。 だから武蔵野は、強いのです。」というのが小山昇社長の組織観です。トップがコントロールしやすい他律の人材や組織が小山昇社長の望む企業の在り方なので、環境整備点検も当然そのためにしくみ化されているわけです。

 あなたが、トップとして効果的に統率できる組織を構築したいならどうぞ。

社員に自発性を望むなら環境整備点検を使った環境整備は最悪です。もしも社員の自発性を高めたいという目的で環境整備点検をしてしまっているのならば、今すぐやめておきましょう。

 今の時代に自律人材が求められるようになっているのには理由があります。今は答えが見つけにくい時代です。自律人材とは、自分自身を管理し、自主的に行動し、他者からの監督や指示がなくても効果的に仕事を進めたり、成果を出したりすることができる人々です。または、答えがなくても前に進みながら最適解にたどり着こうと行動する人材のとも言えます。そういった自律人材で組織を作ろうとするならば「自律組織をつくるための環境整備」が必要になるわけです。その取り組みには、他者による環境整備点検なんていらないのです。

ビッグモーターの「環境整備」が最悪な結末に至った理由 
その3 「○○の徹底」が最悪

 ここでは「徹底」という言葉が最悪だということを解説します。

 このブログ記事の頭の方で、「そうじの徹底」「整理整頓の徹底」は手段の目的化で、その行きつく先は、「もっときれいに」という終わりなき要求の繰り返しだと説明をいたしました。多くの会社で「環境整備」や「5S活動」の取り組みに失敗する理由も、「そうじの徹底」「整理整頓の徹底」が目的化してしまうためです。この「そうじの徹底の目的化」と「100点を目指す環境整備点検」が合わさると最悪のコンビネーションです。

 あなたの職場で「環境整備」を始めるとして想像してみてください。

 上司からは「まずは、事務所の隅々までそうじを徹底してください。」と指示がありました。さて、あなたならどうしますか?

 私なら「何を言っているのかわからないな」と思って困ります。しかたなく「周囲の様子をうかがいながら、とりあえず自分の周りをそうじしてみる」くらいはするかもしれません。  

 職場では「そうじの徹底」のように正しそうに聞こえるので反論しづらい言葉が、上司によって都合良く使われている例が多いです。そのような、正しそうに聞こえることを言われると、もやもやした気分になって嫌です。

 そういった正しそうに聞こえて意味が伝わらない言葉の中でも「徹底」は最悪の言葉です。

 その理由は、相手を限度なく追い込んでしまう言葉だからです。似たような言葉では「完璧」があります。「そうじの徹底」や「完璧に準備しろ」のような指示は、基準がなく不明確です。指示を受けた側は、自分では完了が決められずに、完了は指示をした人の判断に依存するしかありません。この状態で適切な指示ができていると思っているのなら、その人は思考停止しているか、相手を都合よくコントロールしたいという別の意図があるのかもしれません。もしも思考しているのであれば「徹底」とか「完璧に」とかではなく、物理的に可能な時間や能力や手数を考慮して、実現可能性の高い具体的な到達基準を指示するはずですから。

 ビッグモーターのケースでは、結局「環境整備」のために違法行為を犯すまでに「徹底」がエスカレートしてしまいました。思考は破綻し、別の意図があったと断じて良いでしょう。

 「徹底」や「完璧」のような言葉が、どういう意図をもって、どんな場面で使われるのかには問題があります。それは、たいていの場合、上位の職責者が部下の失敗やミスを指摘する場面を作るための巧妙な「仕掛け」だからです。仕事のゴールを「徹底」や「完璧」に設定することで、上位の職責者は永遠に部下に指摘するチャンスができます。

 「徹底」や「完璧」のような言葉を使いがちな人は、明確な基準などないほうが、部下の自発性を奪い、恣意的に状況をコントロールできて都合が良いのです。部署の業績向上より自分のポジション保持に関心が強いともいえます。

 ビッグモーターのケースのように、理不尽な要求をしているにもかかわらず、それを受け入れてもらえる構図は、上司の甘えた承認欲求を満たす最高の舞台装置として機能しますから。会見からも逃げた当該の元副社長は、その気持ちよさにはまり、暴走をエスカレートさせたのかもしれません。それを教訓にして「徹底」や「完璧」のような不明確で主観的な基準で相手を追い込む指示は、言うのも聞くのも気をつけましょう。

 あなたが、トップとして効果的に統率できる組織を構築したいなら、どうぞ「徹底」や「完璧」というゴール設定を使ってください。

 社員に自発性を望むなら「そうじの徹底」や「整理整頓の徹底」のようなゴール設定はまったく意味がないので今すぐやめましょう。

まとめ

ビッグモーターの批判に至った経緯

 今回は、ビッグモーターの環境整備が炎上した件もあり、株式会社武蔵野の環境整備について批判する立場で、私の環境整備に対しての考えをブログ記事に書いてまいりました。

 とはいえ、私が現在の仕事をしているきっかけの一つは、間違いなく20数年前に株式会社武蔵野の環境整備を見て体験して学んだことにあります。そのことは今でも心から感謝をしています。

 自分が所属した会社で「5S」「環境整備」を実践し、その後コンサルタントとして様々な企業の現場で「5S」「環境整備」に向き合ってきました。そうして私自身が体験事例を増やし活動を続ける中で、既存の「5S」「環境整備」に疑問を感じるようになってきました。支援先で「そうじの徹底」を図り「そうじができている会社」になったにもかかわらず「社員の不祥事」「事故」「人が辞める」「参加者の目が死んでいく」「幹部の対立」などが起きる事例に遭遇しました。「何かがおかしい」と自分のやり方に疑念を持ち、見直しをはじめました。

 数年がかかりましたが、わかったことがあります。それが、私が当初目指していた「そうじの徹底」「整理整頓の徹底」には問題があったということです。私自身が、このブログ記事で紹介したように「そうじの徹底」「整理整頓の徹底」を目的化してしまっていました。その結果は、私が望んでいた結果ではありません。ビッグモーターの炎上は、ここまでひどい実態は見たことがないにしても、事例としては他人事でもなかったりします。

 それでは「私が望んでいる結果は何なのか?」「何のための環境整備をやりたいと思っているのか?」ということなのですが、それは次のようなことです。

どんな「環境整備」をしていきたいのか

 私が望んでいることは『全ての働き手が仕事で「幸せ」を感じられる社会になる』ことです。そのために「経営者が経営に集中できる環境を整える」「働き手が自ら気づき自ら課題を乗り越える環境を整える」ことをShineBrightの5S環境整備を通じて実現していきたいのです。

 実際に「Happiness」を理念に掲げた会社を支援させていただく機会を頂いています。その中で「幸せ」を創り出す環境の在り方を考え続けた結果、それまでの既存のやり方を全部やめました。例えば「ここが出来ていない」などの指摘は一切しません。私が指摘をした個所を改善してもらっても「幸せ」が生まれる環境にはならないからです。「言われたからやる」とか「言われたことをやる」という構造で仕事をしているかぎり、その人が仕事で「幸せ」を創り出す存在にはなれません。あらためて「幸せ」に「なる」のも「する」のも自発や自律の姿勢が不可欠であることを支援先で教えられました。

 具体的には、このブログ記事では書ききれませんが「そうじが行き届いた環境」を作るのに「そうじの徹底」と指示する必要はなかったのです。理念を実現するための環境を整えると、おまけみたいに「そうじが行き届いた環境」がついてきます。同じように、理念を実現するための環境を整えると、おまけみたいに「人が成長し、業績が向上する」ということがついてきます。それを理解して体験した現在は「何を目的にして、そのためにどんな環境を整え備えるのか?」ということを共に考え実践して、個々の成長と理念の実現を支援することが、私が望んでいることであり、私のお役立ちどころだと気づき行動しています。

 他者の判断や指示に依存する他律的な組織を、「答えがない中で、自らの進路を自ら定めて自ら行動し、失敗を失敗ではなく次の行動のためのデータにしながら最適解に近づいていく」そういう仕事のやり方ができる自律的な組織に変えていく事は可能です。練習さえしていけば、誰でもできると思います。

ビッグモーターの「環境整備」が最悪な結末に至った今回の出来事は、事の重大さがひどすぎて話題にはなっていますが、「なかなか言うとおりに動いてはくれない社員にどう接するのか?」という悩みは、中小企業経営者にとっては広く共有される悩みだと思います。ビッグモーターの顛末を他山の石として、自社の状況を見直す機会にいたしましょう。あらためて、自社は何のために事業をしていて、これからどうしようとしていて、そのためにはどんな環境を整え備える必要があるのか、常にそれを考えて行動をする必要があります。 もしも、わからないことや不安なことがあるようでしたら、遠慮なさらずお問い合わせください。お手伝いさせていただきます。

今回のまとめのまとめ


(1)ビッグモーターの「環境整備」は違法行為にまで及ぶ最悪の結果に至ったが、経営指導をしている「株式会社武蔵野の環境整備」の考え方に原因があるともいえる。

(2)株式会社武蔵野の「環境整備」は「言う事を聞かない社員に、無理やりでも言う事を聞かす」そのための「環境整備」だから。

(3)環境整備点検は「他者からの指導や規則に従って行動する、他律の人材や組織をつくるためのしくみ」。

(4)「自分自身を管理し、自主的に行動し、他者からの監督や指示がなくても効果的に仕事を進め成果を出す」自律人材や自律組織を作りたいなら、環境整備点検は絶対にやってはいけないしくみ。

(5)「徹底」は、相手を限度なく追い込んでしまう言葉。基準がなく不明確な指示は、思考停止しているか、相手を都合よくコントロールしたいという別の意図がある。

(6)もしも明確な成果を期待しているのであれば、物理的に可能な時間や能力や手数を考慮して、実現可能性の高い具体的な到達基準を指示するはず。

(7)他者の判断や指示に依存する他律的な組織を自律的な組織に変えていく事は可能。練習によって誰でもできるようになる。

(8)自社は何のために事業をしていて、これからどうしようとしていて、そのためにはどんな環境を整え備える必要があるのか、常にそれを考えて行動をする必要があります。

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